来月のギター音楽祭に向けて練習を重ねている稲葉くん。
オーディションではN・コシュキンのアッシャーワルツのみを弾きましたが
本番ではもう1曲、M・M・ポンセの前奏曲ホ長調を弾く予定です。
これは所謂セゴビアレパートリーの1つですが、ちょっと面白い話があります。
クラシックギター界の巨匠として知られるA・セゴビアは、このポンセのプレリュードが作曲された1925~1930年頃
既に演奏家としての地位を不動のものとしていましたが、バイオリンやピアノには膨大な数の作品があるのに対して
クラシックギターの為に書かれた作品が少ないことに大きな不満を抱いていました。
そんなセゴビアが、ポンセにバロック音楽のスタイルで作品を書いてほしいと頼んで書かれたのがこのプレリュード。
ただ既にポンセに幾つも曲を書いてもらっていた為、演奏会のプログラムが
ポンセばかりになってしまうのを躊躇したと言われています。
そこでセゴビアはこの作品をバロック時代に生きたリュート奏者兼作曲家
S・L・ヴァイスの名前で発表してしまいました(笑)
勿論ポンセにも承諾は得ていたようです。
他にも組曲イ短調など幾つかバロックのスタイルで書かれ、スタンダードレパートリーとして
今も世界中で演奏されている曲がありますが、これもヴァイスの名前やスカルラッティの名前を騙って発表されました。
結局後日、種明かしはされたのですが、未だにポンセ作ではなく
ヴァイス作として表記されたポンセの作品(ややこしい)の楽譜を購入することが出来ます(笑)
吉住和倫
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