マルシン・ディラ札幌公演終了。

マルシン・ディラの札幌初公演が終わりました。

昨日のマスタークラスから本当に充実した実りの多い2日間でした。

 

この公演とマスタークラスの実現にあたって、主催の六花亭様や福田進一先生、コンサートマネージャーの中嶋さん

札幌公演のお話を僕に振ってくれた生田直基さん…お世話になった人を数えたらキリがないのですが、本当にありがとうございました。

心から感謝申し上げます。

 

マスタークラスは主催させていただいたので、最初の受講生のレッスンからほぼ聞かせてもらいましたが

とても人間的且つ音楽的。いや、音楽的である為には人間的であるのが当たり前。

僕の貧相なボキャブラリーでは中々言い表すのは難しいですが。。とても素晴らしいレッスンでした。

 

僕はBWV998のフーガで受講しました。流石に短期間での練習でしたのでやや荒っぽい演奏でしたが

恐らくかなり完璧に仕上げたとしても指摘される内容は同じだったでしょう。

妥協を許さないレガートとアーティキュレーション、各声部が悪い意味で干渉しないポリフォ二ー。

普通のギタリストなら「ギターだから難しい」とか「仕方ない」といったところでも

ディラにとっては至極当然当たり前の様に出来る事。

 

自分はマスタークラス慣れしてることもあって、一応言われた内容はある程度実践して

「良くなった」と言ってくれましたが、かなりダイナミクスを落として平坦にしなければ要求に応えられませんでした。

とてもとても大きな壁を感じています。

右手のタッチも、左手のしなやかさも、感情のコントロールと集中力も、今より大きく向上しない限り

絶対に乗り越えられないでしょう。死ぬまでには何とかなるでしょうか。

 

 

今日は待ちに待ったリサイタル。

昨夜はとてもお疲れの様子だったのですが、冒頭のジュリアーニから凄まじい集中力。

1音目を発した瞬間から音楽の世界に惹き込まれてしまいました。

いや会場全体が一瞬で音楽の世界に包まれた様な感覚。

ソナタop.15という曲が、昨日多くの受講者に投げかけていた言葉を実践するのにピッタリということもあって

より説得力のある演奏に感じられました。

 

ヴィラ=ロボスではちょっとしたエラーがありましたが、そんなの全然どうでもいいです。

シエラもポンセもブリテンも本当に素晴らしかった。

 

「スペインのフォリア」の主題による変奏曲とフーガは2年前の白寿よりも一段と研ぎ澄まされた演奏で

クライマックスでの響きの雄大さはギター1本なのが本当に信じられないくらいでした。とても豊かでスケールの大きな音楽。

 

これまで多くの名手達に弾かれてきたノクターナルは、「この曲ってこんな風に弾けるんだ…」と思ってしまうくらい

とても新鮮な気持ちで聴かせてもらいました。

最後にテーマとして現れるダウランドの「来たれ深き眠りよ」は涙が出そうなくらい美しかった。

 

終演直後に記念撮影。とてもお疲れのところありがとうございました…!

 

 

また必ず…ではなく、また何度でも札幌で聴きたい演奏家です。

マルシン・ディラは絶対にクラシックギターの歴史に大きく名を残す人です。

明日は福岡、その後も日本ツアーは続きます。まだマルシン・ディラの演奏を聴かれたことがない方は是非足を運んで下さい。

 

 

吉住和倫

 

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