昨日はギター音楽祭。
独奏部門の時間帯、会場はほぼ満員の大盛況でした。
7/17に行われたオーディションに合格した7名による演奏で
結果的に今年は大賞、奨励賞共に無しでしたが、平均レベルはかなり高かったと思います。
例年、緊張をコントロールできずに自分を見失ってしまう様な演奏をしてしまう人が何人かいるのですが
今年は皆さん持ち味を発揮していたのではないでしょうか。
僕の生徒さん以外で特に印象に残ったのは2人。
トップバッターの西岡樹希くん。
7人中唯一の独奏部門舞台未経験者でしたが、ソルの魔笛の主題による変奏曲を、達者な技術で流麗に弾きました。
音楽的にも角が無く端正ですし「自己」が表に現れてくればとても素晴らしい演奏になりそうです。
そして山本朝香さん。
彼女はプロですし上手いのは当然ですが、演奏内容の中身という点では他の奏者達を大きく引き離していたと思います。
ただ音量が不足しており、その点で評価されにくいのではないか、と懸念しましたが、その通りの結果になってしまいました。
それでも、僕が審査員だったら間違いなく彼女に票を入れます。
音量の件を差し引いても、洗練された表現と音楽への充実した理解度は十分伝わる演奏でした。
僕の生徒さん。
まず倉田くん。
レッスン時よりも、リハーサル会よりも良い演奏でした。
完成度は高く、今持ってる力はしっかり出せていました。
苦労していたスカルラッティの装飾もほとんどが鮮やかに決まっていましたし
椿姫の主題による幻想曲もほぼ狙い通りの演奏。お客さんの拍手も大きかったですね。
今後の課題としては発音した後の音符の方向性、音色のパレット、和声感などまだまだ多くありますが
一番は「言われた通りに弾いてる」というところからの脱却です。
稲葉くん。
練習不足の感は否めず、ポンセがやや辿辿しい演奏で、審査員がご指摘のバロック云々などというレベルには全く達していなかった。
アッシャー・ワルツも良い時の彼と比べたら、緊張と不安からややスケールダウンした演奏でした。
しかし2曲とも大きな傷もなく、高いクオリティで弾ききりました。トリでメンタル的にも難しかったでしょうがよく頑張りました。
彼は僕が何も教えなくても「自己」を一定以上表現出来ますし、表現に対しての貪欲さ、豪快さを持っています。
半面、緻密さと知性に欠ける側面が課題ですね。
今より上に行くには練習の段階から見つめ直すことが必要になってきます。
稲葉くんに賞の票が幾つか入ったのは、スケールダウンしていても自己アピール度の高さがあったからなのでしょう。
ただ正直、このギター音楽祭は審査傾向として、派手な現代モノとアピール度の押しの強さがかなり高く評価されやすいです。
他所の土地のコンクール的な催しで、今日と同じ面子で競い合ったらかなり違う審査結果になるでしょう。
僕は昨日音楽祭が始まる前から倉田くん、稲葉くんのどちらかが賞を取るのはかなり難しいと思っていましたし
2曲弾かずに1曲だけにしていれば…という声もあったようですが、それは賞という結果に近づくとしても
上達という結果からは遠ざかります。ただでさえ時間の限られた社会人。一生の内に触れられる曲数はかなり限られます。
ですから、いつでも複数の曲をこなせる力を付けてもらうことの方が、賞金が出るわけでもない賞よりずっと大事だと思っています。
まあ音楽祭の制限時間の都合で長めの曲を選んだら1曲しか弾けないんですけど。。
出演された皆さん、本当にお疲れ様でした。
来年もより一層腕を磨いて、音楽祭を盛り上げてくださいね。楽しみにしています。
吉住和倫
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