マンドリンのKさん。
発表会を終えたばかりですが、今月某所で演奏予定があるらしく
その際に弾く予定の新曲を持ってきてくれました。
吉田剛士/クロスセクションⅠ
日本のマンドリン独奏では結構メジャーな曲ですね。
キャッチーなのでマンドリンを知らない人にもウケが良いと思います。
独奏曲としては技術的にそんなに難しい曲ではありませんが、無伴奏の独奏の経験があまりない人にとっては
特殊な押さえが多く、和音のチェンジ、または押さえるだけでも一苦労です。
Kさんも苦労されている個所はありますが、最後までは大きなミスなく通せる状態。
無伴奏ですから、当然メロディも伴奏も同時に弾くのですが
メロディ以外の音量が大きすぎてバランスが悪くなっているので調整。
全ての音を大きく弾いてしまうと、技術的にも問題が発生してきます。
和音の押さえもキツくなりますし、左手の移動も困難になりやすいです。
次に音価の問題。クラシックギターもそうですが、マンドリンの記譜は
どの音をどれだけ伸ばすべきか記されていない場合が多いので
自分で考えて決めていかなくてはいけません。
前の小節では高音の音価を長く取っていたのに、次の小節では記譜通りの
音価で弾いてしまっていたり、と統一感を失っている個所の運指と、左手の離すタイミングを確認。
何か所か左手の押さえで苦労していますが、これはフォームの問題。
日本でマンドリンを弾かれる方の多くが当て嵌まりますが、ネックを握り込むフォームでは
指を立てて指先で押弦することが出来ず、触れてはいけない弦に触れたしまう。
3、4指が指板、特に低音弦から遠くなり精度が悪くなる。
重力、腕の重さを使って押さえられないので、D線、G線の押さえが甘くなる…等々、多くの不利を生みます。
ケースバイケースなので、ネックを握り込むフォームが有利な場合もありますが、フォームは使い分けられなければいけません。
特に和声的なアプローチが増える無伴奏の独奏においては。
合奏でメロディ弾くだけだったら滅茶苦茶なフォームでもある程度誤魔化しが効いちゃったりするんですけどね。
Kさんは最近、左手親指を下げるフォームで技術的なエクササイズをこなせるようになってきたので
まだ握り込む癖が抜ける時間は掛かると思いますが、徐々に普段の演奏に反映出来るようになっていくでしょう。
吉住和倫
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