この時期は皆さんの周りでも、異動による転勤、就職、高校大学入学など様々な理由で
今住んでいる土地を離れる方が多くいると思います。
僕のギター教室に2年程通い続けてくれた、小林和音くん。
就職が北海道外に決まり、昨日が最後のレッスンでした。
真面目に練習を重ねて続けてきましたし、自分から
「次はこれが弾いてみたい」「これも弾いてみたい、今の自分に弾けますか?」
と意欲的に訊いてきたり、ギター・マンドリン関係の演奏会にも可能な限り足を運んで
良い音楽に触れ続けてきた彼は、とにかくギターが大好きな青年だったという印象です。
割と緊張タイプなので、人前でのパフォーマンスに自信を持つのが難しかったのですが
この辺りはこの1年で大きく成長しましたね。
所属していたマンドリンサークルの卒業演奏会で、マンドリン・ギターデュオによる
「タンゴの歴史よりCafe1930」を披露した際の音源を聴かせてもらったのですが
和音くんの良いところがしっかり出せた演奏になっていました。
本人も反省と課題は感じながらも、充実感を得られた様です。
最後のレッスンということで、時間をたっぷり取って、まず基礎技術のチェック。
右手のタッチの振り抜いた指を戻すタイミングや、戻した際のポジションの確認
左手指の伸縮のコントロール、左右の各指が干渉せずに独立した動きが出来ていない点のチェック等々。。
曲はさらって1週間程度の新曲、アディオス・ノニーノ/A・ピアソラを持ってきました。
1週間程度の割には結構よく弾けてる…。就職や引っ越しの準備などで忙しい中
最後のレッスンだから気合入れて練習してきたのだと思いますが「上手くなったな~」としみじみ感じてしまいました。
和音くんが持ってきた楽譜の編曲者は、ご紹介した動画で弾いている、レオナルド・ブラーボさん。
奥様が日本人ということもあって、拠点を日本として活躍しているアルゼンチン出身の名手です。
この日、初めて見た譜面だったのですがとても良い編曲で、無理が無くギターの良さが出しやすいものに仕上がっています。
僕はこの譜面を見て、ブラーボさんの繊細で知的な演奏スタイルよりは、所々に派手で激情的なベクトルの音楽の方向性と
アイデアが幾つも浮かんだので、それを含めて和音くんにレクチャーする形に。
勿論常に派手で激情的なものが似合う曲ではないので、バランス良くですけどね。
声部とリズムの優先順位や、場面転換毎の弾き分け、キメの音色の創り方。
そしてピアソラが亡くなった父に捧げたこの曲に込めた感情を考察しながら、物語仕立てにしてレッスン終了。
新曲でしたが、最後のレッスンは中々充実したものになりました。
違う土地で師事する先生も紹介するつもりなのですが、彼の勤務地が決まっていないので
その引継ぎが終わるまでは、まだ僕が彼の先生ですね。
北海道を離れても彼は間違いなくギターを続けていくので、いつかまた彼の演奏が聴ける日を楽しみに待ちたいと思います。
和音くん、これまで沢山の楽しい時間をありがとう。
吉住和倫
公益社団法人日本ギター連盟公認ギター教室
札幌の音楽教室・マンドリン・ギタースクール
『吉住ギター・マンドリン教室』
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