昨日は広島から来たマンドリン&クラシックギターの
デュオによる演奏会を聴きに行ってきました。
「プチ・ケスタ」というデュオで、マンドリン~佐古季暢子さん、クラシックギター~上垣内寿光さん。
登場時1曲目からなにか違和感を感じる…と思ったら佐古さんの楽器。ヴィナッチャ。
チラシやHPなど幾つかのYOUTUBE音源ではドイツマンドリンだったので
てっきりドイツマンドリンだと思い込んでいたら、イタリア、ナポリ型マンドリンの代表格とも言えるヴィナッチャ。
またドイツ留学経験をお持ちの方は、メソッド的に手首の可動域の大きい奏法になりやすく
YOUTUBE音源でも可動域はやや狭い方ながらも手首をよく使っている印象だったのですが
見てみるとほとんど手首を使わないロシア系に近いスタイル。
僕の想像と違った、という意味で「違和感」こそありましたが演奏内容はとても楽しめるものでした。
佐古さんのマンドリニストとしての本領はやはり独奏のラブソング/C.ムニエルで発揮されていた様に感じました。
打ち上げで、佐古さんにドイツマンドリンと手首奏法についてお聞きしたのですが
「今日使ったヴィナッチャはイタリアの楽器なので、音色、ポテンシャルに合わせた奏法を意識して手首を使わないように弾いてます」
「ドイツマンドリンでは勿論手首を多く使って弾きます」という回答。
楽器によって奏法を大きく変えるなんて器用ですね!ギターでもモダンギターと古楽器では奏法が変わってくる部分はありますので
ある程度想像は出来ますが、マンドリンにおける手首は奏法的にかなり大きなウエイトを占めますからね。
しかし、佐古さんの狙いは演奏会全体を通してよく体現されていたと思います。
今度はドイツマンドリンでの演奏も聴きたいですね。
今年になって幾つか新しく音源がアップされていたみたいですが、これもヴィナッチャによる手首をあまり使わない奏法ですね。
興味をお持ちの方はドイツマンドリンを弾いている動画と比べてみると面白いかも。
昨日の演奏会の1つの特色は「エンターテイメント性に富んでいた」ということです。
これは実際に聴きに行って確かめていただきたいとので、ネタバレはしませんがとにかく「笑い」のネタが仕込んであり
それも含めて演奏会全体がよく練られていました。もしお近くで聴ける機会がある方は是非足を運んで下さい。
必ず楽しい時間が過ごせますよ~。
そしてギターの上垣内寿光さん。業界では名手として知られています。国際ギターコンクール入賞経験もお持ちで
とても洗練された音楽。そして本番での集中力、パフォーマンスの高さは間違いなく一線級です。
演奏会通して自己を高いレベルで表現し続けるという意味では、僕よりも大分先を行っている人だなと感じました。
僕がギタリストなので気になるのは勿論なのですが、東京で毎年行われているプロの登竜門的なコンクール
「クラシカルギターコンクール」で過去に一緒にエントリーしていたのです。
もう16年も前の事で、当時僕はクラシックギター歴4年、しかも約2年のブランク明けで、生まれて初めて出場したコンクール。
棚ぼた的な展開の助けもあってファイナリストに残ったという思い出深いコンクールなのですが
当時上垣内さんは既に幾つかのコンクールで優勝、上位入賞を重ね将来を期待される若手として名が通っておりました。
コンクールでは展開上、会話を交わす機会がなかったので、恐らく僕の事は覚えてはいないだろう…と思ったら
覚えていてくれた様子。
「お互い、ちゃんと生き残って出会えて良かったですね~」と上垣内さん。
当時大活躍していても今は普通の勤め人という人も沢山います。
昔の戦友的な位置付けの人と、お互いギタリストとして再会を果たすのは、僕達にとってとても嬉しいことなのです。
打ち上げでもギター界の事情やら、今後の在り方等々、共感させてもらえることがとても多く、勇気と元気をいただきました。
音楽をより身近に楽しいものに。当たり前の事なのですが、クラシック音楽が本分の僕達には難しい課題でもあり
見過ごしがちになりやすくもあります。
上垣内さんの中長期的に「先」を見据え、信念を持った活動方針はきっと近い将来、多くの明るさをギター界に
もたらしてくれるのではないかと思います。
今後もお互いより良い形で「生き残って」再会できる日を楽しみにしています。
吉住和倫
公益社団法人日本ギター連盟公認ギター教室
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