ちょっと今更感があるのですが、先週末東京にコンクール鑑賞に行ってきました。
第60回東京国際ギターコンクール。
世界でもトップクラスのレベルに近づきつつある国際ギターコンクールです。
僕も何度か挑戦しましたが、最高成績はセミファイナル7位。。本選進出カットラインは6位。
本選で弾くことは叶いませんでしたが、僕を大きく育ててくれた思い出深いコンクールです。
まず初日第2次予選。
課題曲はパッサカリア/A.タンスマン。
超難曲です。出場者の中には世界最高レベルの技術の持ち主もチラホラいましたが、それでも苦労している様子が伺えました。
しかし、ミスから破綻して崩れてしまう人は皆無で、平均レベルとしてはかなり高いコンクールだったと思います。
今回日本人の出場者も多めでしたが、2次予選で落選してしまった人の中にも斎藤優貴くん、会所幹也くんなど
例年のレベルだったら本選に残っててもおかしくなかった人が複数いたのではないでしょうか。
中でも昨年度4位の山田唯雄くんは、音楽のスケールが参加中最も大きく、他の奏者が技術に囚われて
細切れの音楽になっていたりする箇所で、見通しの良いフレージング、小気味良い拍節感を聴かせてくれたりと
演奏内容が大変素晴らしかったのですが、ミスの種類が悪く、惜しくも7位で落選となってしまったのはとても残念でした。
本選に残っていれば上位を争っていたのでないかと思います。
本選に進んだ6名は予想の範囲内。しかしPavel Kukhtaの落選だけは完全に予想外でした。
音楽が面白いかどうかはともかく「整っている」という意味では1位通過のA.バラノフと並んでトップでした。
彼も本選に残っていたら上位を争っていたのではないでしょうか。
2日目の本選。
本選課題曲は挽歌/原博。
元々3重奏の曲だったものを独奏に編曲したものです。なのでチョット無理があったり、この音はこうだったら…
と思う箇所もあるのですが、抒情的で聴きやすい部類の曲ではないでしょうか。
自由曲は
・ルネッサンス、バロック期の作品 ・1750年頃より1920年頃の作品 ・1920年頃以降の作品
の三つの時代を満たしたプログラム。
流石に本選という事で非常にレベルが高く、予想が難しい内容でした。
安定度という意味ではA.バラノフ。
パフォーマンスとしてならG.M.シャンパ。
細かいミスはあれども、その音楽に求められているものを最もバランス良く表現して最も感動的だったのは小暮浩史くん。
この3人の誰かが1位だろうと、いや今度こそ小暮くんに勝ってほしいと強く願っていましたが、ついに届きました!
7回目の挑戦にしてついに掴み取った栄冠。
小暮くんと初めて出会ったのは高田元太郎先生に師事し始めた2009年。
その頃から何度も東京国際ギターコンクール始め、国内コンクールを一緒に受けた友人です。
彼はギター歴1年程度の頃から国内のコンクールで優勝、上位入賞を重ねており、成績はほとんど彼が上でしたが
彼と一緒にコンクールを受けて、本番直前に一緒にリハーサルして演奏を聴き合えた経験、何度も飲みながら
馬鹿な話や熱い話を沢山してきた経験はとても大きな財産として僕の中に残っています。
実は僕は初めて彼の演奏を聴いた時からその才能に惚れ込んでいて、2012年に一度彼を札幌に呼んで演奏していただいています。
そして、ついに彼を東京国際優勝者として札幌に呼べます。
来年の東京国際ギターコンクール優勝者記念コンサートは小暮浩史くんです!
動画は2014年の小暮くんの演奏。この時点で世界の若手トップクラスです。
来年札幌でどんな素晴らしい演奏を聴かせてくれるでしょうか。皆さんお楽しみに!
吉住和倫
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