忙しくて商大の定演の振り返りが出来なかったので、アウロラと一緒に振り返りです。
まず先月末に行われた小樽商科大学プレクトラムアンサンブルの定期演奏会。
全体的にかなり精度の高い演奏会だったと思います。
人数は北大に比べて半分程度ですが、迫力不足を感じさせず、ハツラツとした音楽で楽しく聴けました。
小樽商大には今年から指導に携わらせていただきましたが、トップ陣の数名が「自己」をしっかり持っており
積極的に音楽を創っていく姿勢はとても素晴らしかったです。
またトップ陣が音を良く聴き合い、音のベクトルを揃える事に関してはかなり高い意識を共有していましたし
オケ全体を上手く引っ張っていました。
アングロのディベルティメント等、アンサンブルの難易度が中々高めの曲でも、学生オケとしてはとても見事なクオリティ。
冗長になりやすいブエノスアイレスの冬でも、繊細さが光りました。
課題としては、全体の演奏時間が短めで、大曲がない為、印象が散漫になりやすいので
今後は規模の大きな曲にも取り組んでいけると良いですね。
また、クラシカルなスタイルで書かれた作品も小品が多かったので、ある程度規模があって
基礎表現力が問われるものにも触れていけると、幅が広がると思います。
2日前に行われた北大チルコロマンドリニスティコ・アウロラの定期演奏会。
とても難しいプログラムでした。技術的難易度がかなり高く、音楽的にもクラシカルなスタイルで書かれ
基礎表現力が試される作品が多く、歴代でもトップクラスの難易度だったのではないでしょうか。
本番前日までかなり苦戦している曲もあり、綱渡り感満載だったのですが、団員の皆さんのギリギリまでの努力が実り
本番のパフォーマンスは「出し切った!」といえるものだったのではないでしょうか。
演奏クオリティも、粗が目立つ箇所がありながらも、よくこのプログラムをここまで纏め上げたな
と素直に褒めたくなる内容でした。指揮者と、トップ陣数名の著しい成長も大きかったと思います。
作曲者の長谷川武宏先生自らに指導していただいた、SIRIUS~迷宮の光彩はスケールの大きな音楽で
多くの人の印象に強く残ったでしょう。
課題としては、人数が多いが故に奏者毎の演奏に対する「熱」の差が激しいこと。
特にコントラバスを除く中低音系において顕著なのでそこが一番の課題でしょうか。
あとはもう少し、音楽表現を練る時間を持てるプログラム構成にすることですね。
そして共通の課題。。これは僕が指導している団体のみならず、ほぼ全てのマンドリンオーケストラに言えると思います。
「和声感」です。これが過不足なく感じられる演奏には中々出会えません。
理由は幾つもあるのですが、1つには独奏の普及率の低さ=1人で和音を弾き
曲の最初から最後まで和声を感じて弾く機会がないこと。
ギターはマンドリンに比べると独奏は盛んですが
マンドリンオーケストラのギター弾きの独奏の普及率はとても低いのです。
また、擦弦楽器と違い、質の高いプロオケの参考音源がないことや
プロフェッショナルの独奏に興味を持つ人が少ないことなども大きく関係しています。
これをオーケストラに対する指導の中で向上させていくのは、とても難しいことです。
独奏の個人レッスンなら幾らでもやりようはあるのですが。
来年はマンドリン関係で新しいプロジェクトも立ち上がります。
1年2年で明確な答えや手法が見つかるような容易いものではありませんが
教える側としてはしっかり向き合っていかなくてはいけない課題だと感じてます。
吉住和倫
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